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ラジオデイズ:田中流『世界の読み筋』第4号・・カタストロフィー前の不気味な静けさ
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◆国際通貨になる人民元 【2010年8月30日】20世紀前半、覇権が英国から米国に移転したが、それを引き起こした要因の一つは、米国が全土に鉄道や道路など当時の最新鋭のインフラを整備し、国民の所得増大を誘発して強い国内市場を作り、国内の消費力によって米経済が自転する構造を作って、欧州諸国より強固な経済基盤が構築されたことだった。そして今、中国は、かつて米国がやったのと同じようなインフラと国内消費市場の強化を進めている。今後の多極型の世界の中で、中国が欧米と並ぶ地域覇権国になるのなら、人民元が国際基軸通貨の一つになるのは当然だ。
◆東アジア共同体と中国覇権 【2010年8月24日】中国を脅威と感じる人々や「民主主義を愛する人々」にとって、東アジア共同体は、とんでもない話である。EUの権力は、独仏など欧州の大国群の談合体制であり、加盟各国の合議制が存在するが、中国が圧倒的な力を持っている東アジア共同体は合議制にならず、実体は「拡大中国」である。米国の覇権が後退し、東アジア共同体が具体化していくことは、中国共産党の独裁権力が東南アジアや朝鮮半島、そしておそらく日本にまで波及してくることを意味する。
◆インドを怒らす超細菌騒動 【2010年8月20日】英国の権威ある医学論文誌ランセットが、超細菌NDM−1に関してインドを中傷する結論の論文を載せたことが、インドの政府やマスコミを怒らせている。論文の結論は、薬剤耐性化を引き起こす薬の過剰投与をいましめるものになるべきだったが、製薬会社からの横やりがあったのか、インド批判に転嫁された。この問題は、インドを含む新興諸国と、欧米先進国との分断状態を加速し、多極化に対応しようとする英国の新戦略を頓挫させかねない。
解放戦争に向かう中東 【2010年8月16日】 イスラエルがイランを空爆しない場合、中東は平和になっていくのか。そうなれない大きな要因は、レバノンとパレスチナである。かつて諸派が分裂していたレバノンは、今や反イスラエルで結束し、ヒズボラとレバノン国軍が統合している。イスラエルはもうレバノンと戦争したくないが、レバノンの方は、この30年イスラエルにやられ続けてきた復讐をしたいと思っている。レバノンには50万人のパレスチナ難民もおり、ガザや西岸、ヨルダン、シリアのパレスチナ難民と同様、イスラエルが今の状況である限り、難民のままだ。米国が中東から出ていき、イスラエルが弱体化するなら、パレスチナ人は、イスラエルを倒して祖国を再獲得しようと思う傾向を強める。これまでは、イスラエルがレバノンやガザなどを空爆して戦争を起こしてきたが、今後はレバノンやパレスチナの側が、イスラエルを倒す祖国解放戦争を起こす番になりそうだ。
◆米連銀の危険な量的緩和再開 【2010年8月13日】 連銀が新たな量的緩和策を長期米国債の買い取りというかたちで再開することは、外国勢に対する米国債の信用問題として大きな危険をはらんでいる。連銀が長期金利の上昇を防ぐため米国債を買い支えることは、逆に言うと、連銀が米国債を買い支えなければ、米国債の買い手が足りず長期金利の上昇が起きかねないということだ。連銀は、米国債がすでに危険な「紙くず一歩手前」の状態にあると認めたことになる。連銀が量的緩和の再開を発表したことは、中国やアラブ産油国など、米国債を買い支えてきた外国勢を、米国債買い控えの方向に誘導しかねない。連銀は余計なことをしている。
◆米軍はいつまで日韓に駐留するか 【2010年8月5日】 天安艦事件の濡れ衣戦略の失敗に懲りた韓国は、いずれ北朝鮮への敵視策をやめて方向転換を模索する。その時に韓国が頼るのは米国ではなく中国だ。中国が南北を仲介し、北朝鮮は天安艦事件で韓国を非難することをやめ、韓国は北に対する融和策と経済支援を再開し、天安艦問題をうやむやにして南北が和解する。史上初の中国による南北仲裁が成功すると、韓国は対米従属を脱し、有事指揮権を米軍から譲り受け、在韓米軍に撤退を要請する。その後、日本でも在日米軍の撤退が取り沙汰されるだろう。
中国軍を怒らせる米国の戦略 【2010年8月2日】 中国軍部は、米国が再強化しようとする対中包囲網が口だけの張り子の虎であることを発見し、党中央に対し「米国の傲慢なやり方を容認せず、米国を第1列島線の東側に追い出す毅然とした態度をとるべきだ」と突き上げる。党中央は軍の意見に引っ張られる傾向になっている。実際に、中国政府が毅然とした態度をとるだけで、米空母は黄海に入らず、台湾への武器売却も見送られた。こうなると、トウ小平の遺言「24文字教訓」を守って米国の挑発に見ないふりをして頭を低くしている必要はないという話になってくる。中国が外交面で自信をつけ、米国を特別視しなくなることこそ、米国の隠れ多極主義者たちが狙ってきた策略であると見える。
◆中東の行く末 【2010年7月28日】 レバノンでは05年にラフィーク・ハリリ元首相が爆弾で暗殺された。米国や、米国の息がかかった国連の調査団は、これを「シリアの諜報機関の犯行」と断定し、国際社会ではシリアを経済制裁せよという声が強まった。しかし5年後の今、レバノンでモサドのスパイが摘発される中で、ハリリを暗殺したのは実はモサドだったという見方が強まっている。シリア犯人説の主たる根拠は、シリアの関係者がレバノンで使っていた携帯電話の通信記録なのだが、携帯電話会社には上層部から技術陣までモサドのスパイが入り込んでおり、通信記録をでっち上げて当局に提出することができた。モサドはレバノンの軍と通信部門に入り込んでおり、当日のハリリの行動もモサドに筒抜けだった。
◆やはり世界は多極化する 【2010年7月26日】 影の銀行システムは米経済の隠れた大黒柱であり、その規模は伝統的銀行システムの1・5倍の16兆ドルで、米国GDPの14兆ドルより大きい。影のシステムの再活性化が不発に終わった場合、リーマンショックより大きな金融崩壊が再来する。数年前まで米国の繁栄と覇権を支える秘密の錬金術だった影の銀行システムは、今や、米国の致命的な構造欠陥と化している。こんな構造欠陥を抱える国の通貨を、基軸通貨にし続けられないと国際社会は考え、ドル延命機関だったG7に代わる国際機関として、ドル安楽死のためのG20が作られた。やはり今後2−3年以内に、米経済の崩壊と、世界覇権の多極化が起きる可能性が高いと、私には思われる。
◆影の銀行システムの行方 【2010年7月19日】 影の銀行システムは、ジャンクの価値しかない債権にお手盛りでトリプルA格をつけて売る詐欺商法であり、そんなものが銀行融資総額より巨額の残高を持っていることは、確かに不健全である。しかし、オバマ政権が影のシステムを潰すことは、米国の経済的な自滅を意味する。影のシステムが再び壊れて米金融市場が再崩壊すると、次はドルや米国債に対する国際信頼が揺らぐ。ボルカーら米当局者が影のシステムに対する規制を強化すると、米経済は失速する。失速が起きるかどうかは、今秋に見えてくる。失速は不可避だと言う人がすでに多い。
◆インドとパキスタンを仲裁する中国 【2010年7月15日】 カルザイはタリバンに政権転覆され亡命して終わるかもしれないが、そのころには、アフガンの国権はパキスタンと、その背後にいる中国の手中に落ち、タリバン・パキスタン・中国が、中国と仲の良いロシアやイランの協力も得ながらアフガン統治をしていくことになる。米国は何千億ドルもアフガン占領につぎ込んだのに、嫌われ者になって出ていくだけだ(イラクがすでにこの構図だ)。この大転換を目の当たりにしたインドが、対米従属をやめてパキスタンや中国との和解を考えるのは当然だ。
アフガン撤退に向かうNATO 【2010年7月12日】 米国は、カルザイともパキスタンとも関係が悪化し、カルザイとパキスタンは米国を抜かして急接近している。カルザイとパキスタンは、米国よりむしろ中国を頼りにする傾向を強め、米英中心体制から抜け出して、多極型の覇権体制下での生き残りを模索している。今の流れで米軍やNATOがアフガンから撤退していくと、アフガン、パキスタン、インドという南アジアの全体から、米英の影響力(覇権)が締め出されることになる。
◆代替わり劇を使って国策を転換する北朝鮮 【2010年7月8日】 張成沢の台頭について日韓では「金正日が病気で死にそうなので、息子の金正銀を後継者に定め、その摂政役に張成沢を置くことにした」という分析が主流だ。だが私は「金正日が北朝鮮の経済発展を実現するため、将軍らを出し抜いて先軍政治を脱却し、張成沢を台頭させて中国式の改革開放政策に転換しようとしている」と分析している。後継者として日韓で騒がしく報じられる子息の名前が、金正男、金正哲、金正銀ところころ変わるのを見ると、金正日が権力の父子世襲を考えていると人々に思わせるのも、お得意の攪乱作戦ではないかと思えてくる。
◆再燃する中東大戦争の危機 【2010年6月29日】 イラン近海のペルシャ湾周辺に、米軍艦が結集している。空母トルーマンとイスラエル軍艦は、6月6日から10日までイスラエル沖の地中海で合同軍事演習をやった。その後、艦隊はスエズ運河を抜けて紅海からペルシャ湾周辺に行き、以前からインド洋にいた米空母アイゼンハワーと合流した。イスラエル空軍は、イランの北隣のアゼルバイジャンに爆撃機を運び込み、イランを空爆する準備をしていると報じられている。アゼルバイジャンには6月6日、米国のゲーツ国防長官が訪問した。3日後の6月9日、アゼリ議会は、国内の基地を外国軍に貸与できる新法を決議した。イラン政府は6月22日、米イスラエル軍がアゼリに結集していることを警戒し、西部国境地帯に非常事態を宣言した。
消えゆく中国包囲網 【2010年6月27日】 冷戦体制下では、日本と台湾の境界線は、軍事的に重要でなかったが、中国が台湾を取り込んだ後には、日本と中国の事実上の国境線が与那国島のすぐ西側までやってくる。米国と中国の影響圏の境界線は、台湾海峡から、与那国島の西側(東経123度、第1列島線)に移る。日中や米中は同盟関係ではない。日中の境界線となる与那国島の西側の線は、従来の日台の境界線だったときよりも、厳格に規定しておく必要がある。領空だが防空識別圏ではないという変則的な空域が境界線に存在したままでは困る。だから日本政府は、台湾が中国に取り込まれていく流れを加速する重慶での「第3次国共合作」的な中台の自由貿易協定の調印の5日前に、与那国島の西側を日本の防空識別圏に編入したのだろう。
◆米中は沖縄米軍グアム移転で話がついている? 【2010年6月23日】 ロバート・カプランが指摘するように、中国が、日本や韓国など「第1の列島連鎖」を自国の影響下に置くことを長期戦略としているとしたら、米軍をカネで引き留めておく今の日本のやり方は間違っている。米国は「いずれ中国は軍事的に米国を抜かすので、早めにグアム撤退しておいた方が良い」と考えている。米国は「日米同盟は、中国の拡大によって解消されざるを得ない」と考え、中国もそれを知っている可能性が高い。そんな中で1年ごとに米軍を買収しても、それは日米同盟の未来が確保されたことにならない。
◆世界経済多極化のゆくえ 【2010年6月20日】ロシアのメドベージェフ大統領は「米欧は巨大な金融財政危機の結果、単独で世界を支配していくことができなくなった。だから覇権を多極化し、中国やロシア(インド、ブラジル、EU、米国?)という諸大国が共同で世界を運営し、複数の基軸通貨を持つ新世界秩序へと世界を転換しよう」と提案している。今後、米国の金融システムが再生するなら、メドベージェフの多極化案は実現せず消えていくが、逆に米金融が再び不安定さを増すなら、多極化案が劇的に実現する。事態の行方を決定する要素は、ロシアや中国の側ではなく、米国の側にある。
イラン制裁継続の裏側 【2010年6月18日】 中露の反対でイラン制裁案が否決されると、イスラエルがイランを空爆して中東大戦争を起こすかもしれない。イスラエルは、自国の滅亡の前に、中露など世界に向かって核ミサイルを発射するかもしれない。中露がイランに味方すると、米露戦争にもなりうる。これらのハルマゲドンを防ぐため、中露は、米イスラエルを追い込まず、骨抜きのイラン制裁を残したと考えられる。
◆中国を内需型経済に転換する労働争議 【2010年6月14日】 中国各地で増えている労働争議の主導者たちは携帯電話で情報交換し、戦術を教え合っている。中国政府が携帯電話を傍受し、争議の主導者を検挙するのは簡単だ。だが中国政府はそれをしないどころか、共産党系の環球時報がスト参加者を支持する社説を流している。その背景にあるのは、中国経済を内需主導型の転換する手法として、低所得層である出稼ぎ労働者の賃金を引き上げることの効果である。低所得者層である彼らは、賃金を2倍(100%の賃上げ)にすると消費が70−90%増える。中国の内需を拡大するなら、大都市のホワイトカラーでなく工場労働者の大幅賃上げが良いわけだ。
◆ロシアと東欧の歴史紛争 【2010年6月11日】 ポーランドは、ロシアに融和的な米オバマ政権から疎遠にされ、欧州人の多くが「オバマはブッシュより良い」と思っているのに、ポーランド人だけは「ブッシュの方が良かった」と思っている。英国も財政難で国力が落ち、ポーランドは米英に頼りにくくなっている。ロシアはこのすきにポーランドに近づき、カチンの森事件やスターリンに対する歴史観を両国間ですり合わせて歴史観の対立を解消し、ポーランドを米英側から引き剥がして取り込もうとしている。ロシアは、歴史に関するポーランドの主張を受け入れつつも、相手の歴史観をすべて受け入れるのではなく、反論したり、英仏の責任を指摘したりして、論争を残しつつ、歴史観のすりあわせを行っている。
中国が核廃絶する日 【2010年6月8日】 中国が核廃絶することは、短期的にはあり得ない。しかし中長期的に見ると、中国を含む5大国のいずれかが核廃絶する方向性を打ち出し、他の5大国にも核廃絶を求めると、その国は新興諸国や途上諸国を率いる存在になることができ、今後の国際社会で有利な立場に立てる。たとえば北朝鮮を核廃絶させる場合、日本や韓国が「核廃絶しなさい」と言っても、北が聞き入れるはずがない。しかし中国が「うちも核廃絶するので、貴国も廃絶しなさい」と言えば効果がある。
◆北朝鮮と並ばされるイスラエル 【2010年6月4日】 NPT最終文書では、イスラエルが名指しされた半面、イランに対する批判は一言も載らなかった。「イランは核兵器開発している」と以前から叫んできたイスラエルは「イランを非難しない偽善的なNPT文書など、無視してかまわない」と表明し、NPT加盟を拒否した。だが、実はイランが核兵器開発している話は、イスラエルが米欧を脅して同調させてきた濡れ衣である。偽善なのは、NPT文書ではなく、イランに濡れ衣をかける一方で自国は核兵器を何百発も持ってきた従来のイスラエルの戦略の方であり、その偽善の化けの皮がようやくはがれ、イスラエルが北朝鮮と並ぶ「悪」に突き落とされたのが、今回のNPTだ。
◆鳩山辞任と日本の今後 【2010年6月2日】 鳩山辞任をめぐる話で重視すべき点は、民主党内での小沢の権力が弱まるかどうかだ。これまでの経緯を見ると、民主党内には、選挙戦をまとめる他の有力な指導者がいないように見えるし、自民党や諸新党が7月の参院選で民主党を大きく打ち負かす結果を出すとも予測されていないので、民主党内での小沢の力は弱まりそうもない。小沢が権力を握る限り、対米従属派と、小沢が動かす従属離脱派との暗闘が続く。普天間問題は、参院選後に再燃するだろう。米国の金融延命策が軌道に乗れば、対米従属派が巻き返せるが、逆に米国で大きな金融危機が再発してドルの崩壊感が強まると、日本は対米従属派が弱まる。
韓国軍艦沈没事件その後 【2010年5月31日】 米国が北朝鮮に対してやっていることが濡れ衣戦略だとしたら、イランに核武装の濡れ衣をかけて潰そうとしているうちに、国連(NPT)でイランではなくイスラエルの核武装の方が問題にされているのと同様、覇権を振り回しすぎて(意図的に)自滅する米国の隠れ多極主義戦略である。これにつき合いすぎると、日本にとって危険なことになる。
◆世界金融は回復か悪化か 【2010年5月26日】 世界の金融情勢が、米国のレバレッジ再拡大という「回復」の方向と、ユーロ圏の国債危機という「悪化」の方向の間で揺れている。ユーロにとって最も重要なのは、EUが政治統合を進めることだが、政治統合は短期達成できるものではなく、各国のナショナリズムに凌駕されて失敗するかもしれない。その場合、ユーロは解体に向かう。しかし逆に成功した場合、EUは強化され、米英の財政赤字の方が大きな問題となる。
◆トルコ・ロシア同盟の出現 【2010年5月22日】 トルコはもともとNATOの一員として親米反露の戦略をとっていたが、911後の米国が中東やコーカサスの秩序を破壊する戦略を展開した、これはトルコにとって脅威となったので、静かに国策を転換し、ロシアと組んでコーカサスを独自に安定化し、結果的に米国の影響力を排除する動きを開始している。伝統的にロシアはアルメニアと親しく、トルコはアゼルバイジャンと親しい。ナゴルノカラバフ紛争は、ロシアとトルコがうまく仲裁すれば解決できる。ロシアは、アルメニアとトルコの関係改善を支援する一方で、トルコはロシアとグルジアの関係改善を仲介できる。トルコとロシアは「たすきがけ」の戦略関係にある。
善悪が逆転するイラン核問題 【2010年5月19日】 トルコとブラジルによる動きは、米国が覇権国の威信をかけて展開してきたイラン制裁や政権転覆策に風穴を開けた。米国が隆々とした超大国だった以前なら、米国による報復が恐ろしいので、トルコやブラジルは動かなかった。だが今や米国の威信は揺らぎ、途上国が報復を恐れず米国に横槍を入れられる新時代がきた。トルコのエルドアン首相は「国連安保理の常任理事国は、自分たちは核兵器を持ったまま、他の国々に核廃絶しろと要求する。安保理は、イラン核問題を審議する場としてふさわしくない」と述べた。これは、米国の核兵器は少ししか削減しないのに、世界に核廃絶を求めるオバマへの批判にもなっている。
◆シーレーン自衛に向かう日本 【2010年5月17日】 ジブチでの自衛隊基地の建設は、控えめに考えるなら、自衛隊員に和食を出し、哨戒機の雨ざらしを避けるための施設を作る話になる。しかし、貿易大国となったのに貿易航路の防衛を米軍に頼ってきた日本の戦後体制を考えると、本件は、日本が自分でシーレーンを防衛する方向性を示す話として画期的だ。自衛隊は、すでに「テロ対策(テロ戦争)」の枠内で、米軍と一緒に公海上の臨検に参加し、インド洋で給油活動を行ったが、今回の基地建設は、それをさらに一歩進めるものとなる。
◆英国政権交代の意味 【2010年5月14日】 核廃絶と並んで、英国の新政権が打ち出した外交戦略は「米国との同盟関係の見直し」である。これは、日本の鳩山首相が政権をとった直後に「対等な日米関係」を宣言したのと似ている。英新政権は同時に、インドや中国に接近する姿勢を見せ、世界の多極化に対応している。これも鳩山政権が「東アジア共同体(対中接近)」を提唱したのと同じだ。だが英国は、受身的な対米従属の日本と異なり、米国の世界戦略を牛耳って繁栄してきただけに、米国との同盟を失うと、国際影響力と繁栄が大きく損なわれる。連立新政権に入った親EUの自民党は「米国と関係を切ってEUに入ればよい」と言うが、これが英政界の総意になるとは考えにくい。英国は今後、国家戦略の根幹をめぐって波乱が続きそうだ。
韓国軍艦「天安」沈没の深層 【2010年5月7日】 韓国の哨戒艦「天安」の沈没地点から1・8キロ離れた地点に、米軍の潜水艦が沈没している。天安艦に対する捜索として報じられた活動のかなりの部分が、実は米潜水艦に対する捜索だった。それを韓国の公共放送KBSテレビが報じたが、韓国当局は誤報と非難し、KBSを訴追して報道を封じた。「天安艦は米艦による誤爆で沈んだ」という説は、事実上「禁止」された。しかし実際には、どうやら3月26日にペンニョン島周辺の海域で米韓合同軍事演習が行われ、そこで天安艦と米潜水艦が間違って同士討ちして沈んだようだ。米韓当局が、米潜水艦の沈没を隠しているのは、潜水艦が軍事演習とは別の任務として、北朝鮮をいつでも攻撃できるよう、ペンニョン島周辺で長期潜航していたからではないか。
◆資本主義の歴史を再考する 【2010年5月4日】 欧州が世界に広めた資本主義や競争社会は「野蛮なジャングル」にたとえられるが、実際には、欧州の500年間のように、競争社会を長く維持するには、社会や国際社会に対する巧妙な制御が必要だ。競争している当事者に、自分たちが競争させられているという意識を持たせてはならない。自然に競争が誘発維持されるようにせねばならない。欧州の資本家群は、各国の王侯貴族たちに知られることなく各国を操作するという、非常に巧妙なことをやっていたことになる。
◆ユーロ危機はギリシャでなくドイツの問題 【2010年4月30日】EUは昨秋、大統領と外相ポストを新設し、政治統合に動き出した。オバマもブッシュ同様、英国を邪険にする態度をとっている。米英の財政赤字も急増し、このままでは英米覇権は崩壊だ。そのため英米中心主義の側は、ギリシャ危機を扇動し、ドルの対抗馬となりそうなユーロを潰しにかかる金融戦争を先制攻撃的に起こした。戦争といっても、戦っているのは米英の側だけで、ドイツはほとんど応戦せず、無抵抗でやられているばかりか、利敵行為をする人がドイツ内部に多い。
◆ゴールドマンサックス提訴の破壊力 【2010年4月24日】 4月16日、米国の証券取引委員会(SEC)が、最大手の投資銀行であるゴールドマンサックスを、サブプライム住宅ローン債権の証券化をめぐって不正な金融取引を行っていたとして提訴した。これは「ボルカー裁定」の一つだ。オバマの金融改革を主導するポール・ボルカー元連銀議長が、前から制裁したいと思っていたGSに対し「果たし状」を突きつけた・・・
日本の政治再編:大阪夏の陣 【2010年4月22日】 今後の地方選挙で、橋下新党が大阪府下や関西一円の地方議会の多数派になっていけば、地方からの民主的な革命(体制転換)になりうる。関西の動きに呼応し、各地で地方分権の要求が起こり、東京政府の中央集権的な官僚制度が「旧体制」として打倒の対象になる。こうした地方からの革命は、明治維新以来の日本の大転換になる。沖縄、大阪、宮崎での地方分権運動の連携は、かつての「薩長同盟」になりうる。日本人は、陶酔の対象を「坂本龍馬」など美化(誇張)された昔の物語に求める必要はない。明治維新と並ぶ物語が、今の日本で始まっている。
◆米中逆転・序章 【2010年4月14日】 歴史的に見ると、まず500年前からの欧米の世界支配があり、200年前ぐらいに産業革命で欧米がさらに強くなり、この力で約100年前に欧州は、それまで世界支配の外にあった中華帝国(清朝)を滅ぼした。だがその後、中国は欧米化に努力し、ここに来て中国(やその他の新興諸国)の再台頭となり、米中逆転の現象になっている。歴史から見ると、分析すべきは「中国の再台頭」の前に「欧米の世界支配」である。産業革命前、中国は欧州を支配下に置こうとはしなかった。だが、産業革命で欧中逆転が起きた後、欧州は中国を支配下に置いた。この違いはなぜ起きたか。それは、コロンブス以来の「世界帝国」と関係がある。
カルザイとオバマ 【2010年4月10日】 オバマはブッシュより聡明なので、側近からの情報の歪曲に気づいている。だから「カブールなんか行く必要はありません。ホルブルックに任せておけば良いんです」という側近を無視し、超多忙の合間をぬって無理矢理カブールまで行ってカルザイと会い、アフガン戦略を立て直そうとした。しかし、オバマのカブール訪問自体が米マスコミには都合が悪いらしく、ほとんど報じられず、訪問直後からマスコミはカルザイと米国の関係を悪化させる報道をあふれさせ、オバマのアフガン戦略を失敗の方に押しやっている。
◆操作される金相場(2) 【2010年4月5日】 従来は、ドルや債券といった「紙」の証券に対する強い信用が世界的にあり、金地金を物理的に手元に置きたい所有者は少なかった。しかし、すでにドルや債券に対する信頼が揺らぎだし、今後さらに信頼が崩れそうだ。金地金を手元に置かないと安心できない人が増え、金の債務不履行が起こりうる。それが起きるときには、紙幣を含む証券への信頼が減っている。地金業者は「金地金が足りないので、代わりに現金で払います」と言うだろうが、現金が信用できないから金地金を手元に置きたいと思う人々は拒否し「紙切れは要らない。金地金をくれ」と怒るだろう。これは「金の取り付け騒ぎ」である。
激化する金融世界大戦 【2010年3月30日】 新興諸国の台頭が進むと、米英の覇権を崩しかねない。米国沖の英国領諸島に英主導で作られた租税回避地などを拠点に、巨額資金(投機筋)が、英米が標的とした国の金融市場を、巨額流入でバブル化させた後、巨額流出によって暴落させて破壊する「金融兵器」の機能が作られた。金融兵器は発動者を特定しにくく、攻撃された方も国権に対する破壊(戦争)と気づきにくい。戦争犯罪に問われず、自国民にも知らせず発動でき、少人数で遂行できて、軍事戦争より好都合だ。90年代以降、金融兵器は軍事兵器をしのぐ破壊力を持った。
◆危うくなる米国債 【2010年3月27日】 今の世界は、あらゆるところに米英が作った金融システムが浸透し、新興市場諸国の人々にも大きな恩恵を与えている(だから中国はドルペッグすらやめたくない)。米国債の売れ行き悪化に始まる米英金融覇権の崩壊は、世界経済のシステム的な崩壊になる。しかも、ギリシャの財政危機を悪化させ、ユーロを潰そうとしているのが米英金融界の投機資金であることからもわかるように、米英は自分らの覇権崩壊の際に、世界経済をシステムごと道連れにして壊そうとしている。世界経済の無理心中である。これは、大変なことになる。
ユダヤ第三神殿の建設 【2010年3月24日】 旧約聖書の解釈と、ビルナ・ガオン・エリアの預言の両方が正しいとすれば、3月15日にフルバ・シナゴーグが再建された翌日から、第三神殿の建設がひそかに始まっていることになる。この話を真に受けて、パレスチナ人や他のアラブ人、イスラム世界の全体が、イスラエルへの非難を強めている。パレスチナでは「インティファーダの再開」を呼びかける声も強まっている。
◆中国がドルを支えられるか? 【2010年3月18日】 中国は、米国債とドルを支持しきれるのか。2つの可能性がある。一つは、中国がドルの助っ人に加わったことにより、ドルが今後何年か延命し、その間に基軸通貨体制の多極型への転換が軟着陸的に進む可能性。もう一つは、中国の高度経済成長が続き、インフレがひどくなって人民元のドルペッグを維持できなくなるか、米国債の価値急落によって、中国がドル支持をやめざるを得なくなり、ドル崩壊とハードランディング的な転換(混乱)が起きる可能性である。
イラン核問題と中国 【2010年3月10日】 イラン制裁に反対する中国が得をして、まじめにやってきた日本はイランの利権を失っていく。しかもイランの核兵器開発疑惑は米イスラエルによる濡れ衣だから、中国の制裁反対は間違っていない。問題はむしろ、日本の「まじめさ」の方にある。対米従属を重視するあまり、日本はイラン核問題の濡れ衣性に目をつぶり「イランはそのうち米軍に侵攻され、イラクのように潰される。日本企業はイランに近づかない方がよい」とたかをくくっていたのが間違いだった。
◆大均衡に向かう世界 【2010年3月8日】 英国のウィーン体制の「小均衡」が第一次大戦で崩れて以来、米国は100年近く、世界体制の「大均衡化」を試みているが、まだ成功していない。この10年の稚拙なテロ戦争のやりすぎと、金融バブル大崩壊の過程での(意図的な)失敗の連続によって、ようやく25年後の大均衡体制が見えてきたところだというのが、ポール・ケネディ発言を読んだ私が感じたところだ。米国が今、財政破綻に向かっていることは、永久の米国の衰退ではなく、米国が英国のくびきから解かれるための「再起動」の過程である。
ユーロからドルに戻る危機 【2010年3月2日】 欧州では、ギリシャ危機に解決の糸口が見えてきた矢先に、今度はスペインへと危機が飛び火し、スペイン国債が売られている。南欧の国債危機は米金融界が仕組んだ面があることと、ドルやポンドも危機なので米英当局は自国よりユーロ圏が危機だと市場に思ってもらいたいことを合わせて考えると、国債危機がギリシャからスペインなどに飛び火する背後に、米英の画策があると推測できる。
◆米国トヨタ欠陥問題の意味 【2010年2月27日】 依然として日本企業は、対米輸出や米国での現地生産によって発展する形態を好んでいる。だが、政治的な状況を見ると、もはや日本が軍事・政治的に対米従属する代わりに日本企業が米国で自由にものを売れるという日米同盟の体制は終わりつつある。そのため米側は、日本企業の代名詞であるトヨタを標的に「そろそろ米市場に頼るのをやめてくれ」というメッセージを送るべく、トヨタに濡れ衣をかけて戦犯扱いの非難攻撃を開始したのだろう。
経済覇権としての中国 【2010年2月23日】 中国は、改革開放以来の30年の経済成長のノウハウを持ち、アフリカなどの発展途上国にノウハウを伝授して経済成長を実現しつつ、中国自身も儲けている。今まで、国家運営術を欧米から学ぶしかなかったアフリカなどの途上諸国は、中国式というオルタナティブを得た。「人権問題や経済改革で途上国に援助の条件をつけ、途上国を支配し続ける」という欧米の戦略は無効にされた。途上諸国に植えられた中国式ノウハウは、今後の世界経済の長期的な成長を実現していくだろう。中国の覇権が世界にもたらす最重要の点は、そこにある。
◆揺らぐドル 【2010年2月20日】 米連銀のホエニッヒ理事は最近「新たな財政緊縮策を打たない限り、今後数年間に米連邦政府の財政赤字が急増し、超インフレになる。連銀が景気回復を重視しすぎてドルの過剰発行を続けると、事態は意外な速さで悪化する」と警告した。この主張に賛同する理事たちの突き上げを受け、連銀は公定歩合を1年3カ月ぶりに引き上げた。これを「連銀は金融引き締めに入った」と見る向きもある。だが実際には、連銀は失業が減らない限り金融引き締めには入らないので、今回の利上げは、連銀内の利上げ主張に配慮した一回きりの動きだ。連銀自身が、雇用は少なくとも来年まで回復しないと予測しているのだから、来年まで連銀は金融引き締めをしない。ホエニッヒが懸念する超インフレや国債金利高騰の可能性が高くなる。
中国を使ってインドを引っぱり上げる 【2010年2月17日】 インドは、日本と同様、米国から誘われて喜んで「中国包囲網」の片棒を担いだ。だが、包囲網に対抗して中国がインド洋に進出し、米国が中国に対して意外な譲歩を示し、インド洋が中国の海になりそうな新事態が立ち上がってくると、インドは中国に対抗してインド洋の地域覇権国になる道を歩まねばならなくなった。その状況下で、米国は、インドがインド洋の覇権国を目指すことをQDRの中で奨励し、インドの台頭にお墨付きを与えている。
◆欧米日すべてが財政破綻する? 【2010年2月12日】・・・この予測通り「2010年春」に先進諸国の国債破綻が起きるとしたら、今後の数週間はギリシャ、ポルトガル、スペインなどユーロ圏諸国の国債危機が続くものの、3月末に連銀が量的緩和策をやめる時期に入ると、その後6月のG20サミットあたりにかけて、危機が米国や英国に飛び火し、G20サミットで人民元の切り上げや、新たな世界的な金融危機対策がとられるといったシナリオが考えられる。その間に英米側から新たな延命策が発せられれば、危機は先延ばしされるが、延命策も無限ではない。今年じゅうに危機が再燃する可能性が高い。
米国の運命を握らされる中国 【2010年2月10日】 中国は、米国を潰したいと思っていない。米経済が立ち直り、中国製品を旺盛に買う昔の状態に戻ってほしいと思っている。中国は、米国債やドル資産を買い支え、米国を延命させている。しかし米国自身は、自滅的な政策を重ねて経済危機の傷を深めたあげく、台湾やチベットなどの政治問題で、中国の米国敵視をあおる言動を繰り返し、中国が人民元の切り上げや米国債の放出など、米国を潰す一手をやるように仕向けている。米国は中国に、米国の生殺与奪を決める手綱を無理矢理に握らせている。
◆ドイツ・後悔のアフガン 【2010年2月7日】・・・この事件の後、ドイツは国を挙げて激しい呵責の念に襲われた。戦後のドイツは、二度と戦争の人殺しをしないことを誓い、冷戦後の派兵は国際貢献のはずだった。アフガンに駐留しても、できるだけタリバン兵を戦闘で殺さないようにしていた。それなのに、独軍は米軍機に依頼して、タリバンを殺すよりもっと悪い、一般市民に対する虐殺行為をしてしまった。ドイツでは、アフガンからの撤退を求める世論が一気に強まった。
◆通貨安定策の多極化 【2010年2月3日】 対米従属的な通貨体制でかまわないと思っているASEAN+3が、独自体制への転換へと重い腰をあげたのは、米連銀が2月1日をもって、連銀と欧日など各国中央銀行と締結していた為替スワップ協定を終わりにしたからだ。今後は、金融危機が再来してドルが危なくなっても、他の国々がドルを買い支えてくれる仕掛けがない。アジア諸国は、米国中心の通貨の安定した体制が続くことに期待できず、代わりにアジア諸国間で危機に備えるチェンマイ・イニシアチブの体制を本格稼動することにした。
「第2ブレトンウッズ」再び 【2010年1月31日】 G20が世界政府として機能し始める時期が遅くなるほど、英国は世界政府に救済される前に財政破綻する確率が高くなる。だから英国は急いでいるのだろうが、逆に見ると、英国に牛耳られたくない隠れ多極主義の米国や、地政学的に英国の仇敵であるロシアは、G20が立ち上がる時期を遅らせることで、先に英国の財政破綻を起こせる。今年に入って英仏は、さかんにG20の世界政府化を提唱するが、米国やロシアは、08年とは打って変わって消極的な反応で、中国も通貨多極化に必要な人民元のドルペッグ外しを実施しない。
◆欧米のエネルギー支配を崩す中露 【2010年1月26日】 プーチン首相が、シベリアから中国や太平洋諸国に原油を輸出するESPO事業を「地政学的な大事業」と呼んだのは、ロシアが原油の9割を欧州に売っていた状態から脱せられるからだ。従来、欧州はロシアの原油に頼ってきたが、ロシアも欧州の消費に頼ってきた。しかし、アジア諸国に原油を売リ出すと、ロシアは、欧州に原油を売らなくても大して困らないようになる。ロシアは、これまで西に送っていたシベリアの原油を東に送ることで、たとえEUがロシア原油の不買活動をしても、ロシアは大して困らなくなる。EUに対するロシアの政治的な力関係は、大きく優位になる。
◆迷走するオバマの経済対策 【2010年1月24日】 オバマ政権の新しい金融政策は「オバマは大銀行を儲けさせている」と考える米国民をなだめる人気取り政策として打ち出された。だが、金融界に悪影響を与えると懸念される半面、人気取りとしての効果は不明だ。新政策は、商業銀行を危うくする半面、ゴールドマンサックスなど元投資銀行は、再び投資銀行に戻って高リスク高リターンの取引を続けられる。商業銀行がヘッジファンド業務を禁じられた分、投資銀行はシェアを拡大してむしろ儲けを拡大できる。銀行界は、議会に圧力をかけ、規制対象の「自己勘定取引」の範疇を小さくして、儲けを減らさないようにするだろう。「オバマは銀行を儲けさせている」と感じる米国民の怒りは消えそうもない。
◆短信集(2010年1月21日) ●温暖化誇張コンビに離別の危機!? ●深まるインフルエンザ誇張疑惑 ●ベネズエラ経済難で多極化が逆流?
グーグルと中国 【2010年1月20日】 グーグルは、ユーザーが残していく情報を中国当局に見せたがらないので、ユーザー情報を当局に提供しているであろう「百度」などに比べて中国政府から好かれない。中国政府が国策ファイアーウォールの微妙な運営によってグーグルの表示を制限し、中国人がグーグルではなく百度を使うように仕向けた可能性が指摘されている。米国では、これをグーグルに対する中国の非関税障壁とみなし、WTOに提訴すべきだという主張が出ている。中国政府に対してグーグルが反抗的な態度をとったのは、米政府と謀ってこの問題をWTOに持ち込むきっかけを作るためだった可能性もある。
◆中華文明と欧米文明は衝突するか 【2010年1月17日】 中国は「中華文明」として台頭しているのではなく、孫文以来の中国人が「欧米文明」のシステムを修得する努力を続けた結果、台頭した。中国は中華文明を捨てて欧米文明化を成し遂げたからこそ、急成長している。「偉大な中華文明」という言い方は、中国人(漢民族)のナショナリズム鼓舞のため流布されているにすぎず、中華文明はアヘン戦争とともに死んで久しい。だから欧米と中国の「文明の衝突」は起こり得ない。世界の文明は不可逆的に単一化、普遍化している。
◆ガザ戦争の危機再び 【2010年1月14日】 イスラエルは米国の政治を牛耳ってきただけに、イスラエルが今後どうなるかは、基軸通貨としてのドルの地位(米国の経済覇権)が今後どうなるかという問題と並び、世界の覇権構造にとって大きな話である。イスラエルの力が縮小ないし消滅すれば、サウジアラビアなどペルシャ湾諸国が安全保障を米国に頼る必要が減り、イランとサウジ、イラクが談合して石油利権の非米化に拍車がかかり、石油価格は超高値安定になりそうだ。
インフルエンザ騒動の誇張疑惑 【2010年1月12日】 12月31日、欧州議会の保健衛生委員会は、昨年夏から豚インフルエンザが流行した際、欧米の製薬会社が、ワクチンや関連医薬品の売り上げを伸ばすため、国連のWHO(世界保健機構)や国際医学界などに影響力を行使し、インフルエンザに対する危機感を世界的に扇動した疑いがあるとして、調査を開始することを全会一致で決議した・・・
◆アジア経済をまとめる中国 【2010年1月10日】 元旦に発足したASEANと中国のFTA(CAFTA)は、東南アジアにとって歴史的、地政学的な大転換である。CAFTAは人民元を決済通貨として使う計画を開始し、今後何年かかけて東南アジアの基軸通貨はドルから人民元に切り替わる。基軸通貨がドルである限り、米英は97年のアジア通貨危機が象徴するように、東南アジアを通貨や財政の面から支配できる。人民元が基軸通貨になることは、東南アジアが米国の覇権下から中国の覇権下に移転することを意味している。
◆中国のバブルが崩壊する? 【2010年1月5日】 中国のバブル崩壊は、日本が90年代のバブル崩壊で経験した「失われた10年」のような長く大きな不調にはなりにくい。中国は80年代以来の高度成長の中で、何度もバブル崩壊を経験している。中国では経済全体の状況把握が難しいので、供給過剰に陥りやすい。しかし、中国は広大で多様性が強いので、沿岸部経済でも、加工組立・再輸出産業から発展してきた広東と、揚子江流域の莫大な人口を背景に発展してきた上海が別々に動いている要素も強く、中国全体が崩壊することには、なかなかならない。日本のバブル崩壊後の失われた10年は、米国を抜きたくなかった対米従属戦略の日本の大蔵官僚らが意図的にやったことではないかと疑われるが、この点も中国は、日本と異なり、米国を抜くことへの抵抗がない。
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